IBM Support

VIOSホストの内蔵ディスク環境でIBM i区画構成について

Preventive Service Planning


Abstract

当資料では小規模もしくは開発テスト環境の構築に有効な、VIOS配下の内蔵ディスク環境にIBM i クライアント・パーティションを作成する場合のベスト・プラクティスについて解説します。

Content

更新ログ


更新ログ
(2015/04/13 17:11) 記述の追加
(2015/05/12 17:35) 注意書きの追加
(2015/06/04 13:45) PV-LVに関する案内の削除
(2015/06/05 09:49) LV-PVマッピングに関する記述を追加


通常Power SystemsでVIOSを用いてIBM i パーティションを仮想化する場合は、Storwizeなどの外部ストレージを用いますが、当資料では小規模もしくは開発テスト環境の構築に有効な、VIOS配下の内蔵ディスク環境にIBM i クライアント・パーティションを作成する場合のベスト・プラクティスについて解説します。


【背景】
通常、VIOSをホストとした仮想SCSI環境でIBM i をクライアントとして構成する場合、IBM i が導入されるディスクは、VIOSがサポートする512バイトセクターでフォーマットされたディスクに対して導入し使用します。
そのため、IBM i 内で512-520バイトのセクターの変換が行われます。
これはディスクIOにおいてオーバーヘッドとなります。
一部のケースを除いて外部ストレージ環境では、このオーバーヘッドは無視することができますが(※1)、内蔵ディスク環境では、内蔵ディスクを制御するSASアダプターのキャッシュを効果的に使用することができないため、十分なパフォーマンスを提供することができませんでした。

※1
【Hints&Tips】外部Storage環境におけるジャーナル書き込み処理のパフォーマンス向上について
【Information】IBM iストレージ・サポート 2014/2

Power Systems関連製品の機能拡張により、VIOS配下の内蔵ディスクにIBM iを導入/構成した場合でもIBM i を単独で内蔵ディスクに導入した場合に近いパフォーマンスを得ることができるようになりました。
当テクニカル・フラッシュでは構成する上での前提条件と考慮点について記述いたします。


【機能概要】
VIOSホスト配下の内蔵ディスク上にIBM iを導入した際のパフォーマンス向上を実現したポイントとしては、VIOS上に構成されている内蔵ディスクをIBM iが520バイトセクターでフォーマットし、使用することを可能にしたことによるものになります。これにより、IBM i上で512-520バイトセクターの変換の必要がなくなり、IBM iはVIOSからホストされている仮想ディスクを直接接続されているディスクと同様に扱うことができます。
仮想SCSIにより提供される仮想ディスクは、IBM i上では、通常、6B22-050型のディスクとして認識されますが、このサポート使用して作成された仮想ディスクは、6B22-055型として認識されます。この構成においては、VIOSとIBM iのディスク・マッピングはPV-PVマッピングである必要があります。LV-PVマッピングに関しては、テクニカル・フラッシュ「VIOSホストの内蔵ディスク環境でIBM i区画構成について(補足)」を参照してください。
150146Fig1.png


【前提条件】
ハードウェア
・システム
POWER7 以降のPower Systemsハードウェア
・サポートされるSASアダプター :
PCIe2 1.8 GB Cache RAID SAS adapter Tri-port 6 Gb (CCIN 57B5)
PCIe2 1.8 GB Cache RAID SAS adapter Tri-port 6 Gb CR (CCIN 57BB)
PCIe2 RAID SAS Adapter Dual-port 6 Gb (CCIN 57C4)
その他の2014/1 以降に発表されたSASアダプター
・IBM iでの使用を検討されている場合は、IBM iでサポートされるディスク装置を使用することをお勧めします。(#1947, #1948, #ESDU, #ESDAなど)
・最新のシステム・ファームウェア(推奨)

ソフトウェア
・VIOS 2.2.3 以降
・IBM i 7.1 TR7 以降


【構成方法】
VIOS
IBM i用のディスク(139GB, 283GBなど)で構成されたPower SystemsへVIOSを導入する場合は、まず、ハードウェアに同梱されている「Standalone Diagnostics CD」を使用してイニシャライズし、RAIDアレイを作成したのちに導入します。
IBM iを導入するディスクに関してもこのツールを使用してRAIDアレイを作成したのちにVIOS上で仮想化の定義を行うことになります。


【参考】Standalone Diagnostics CD

-RAIDアレイの作成
1. HMCを使用してVIOSパーティションのパーティション・プロファイルを作成します。
参考:はじめてのVIOS(Virtual I/O Server)
2. CDをDVDドライブに挿入し、SMSブートでDVDからブートします。
3. DIAGNOSTIC OPERATING INSTRUCTIONSの画面をEnterで先に進みます。
4. FUNCTION SELECTIONの画面でTask Selection (Diagnostics, Advanced Diagnostics, Service Aids, etc.)を選択してEnterで先に進みます。
5. RAID Array Managerを選択し、Enterで先に進みます。
6. IBM SAS Disk Array Managerを選択し、Enterで先に進みます。
7. Create a SAS Disk Arrayを選択し、Enterで先に進みます。
8.RAIDコントローラーやアレイ・タイプを指定した後にRAIDアレイを作成するpdisk(物理ディスク)を選択し、RAIDアレイを作成します。

例)
COMMAND STATUS

Command: OK stdout: yes stderr: no

Before command completion, additional instructions may appear below.

[TOP]
------------------------------------------------------------------------
Name Resource State Description Size
------------------------------------------------------------------------
sissas2 FEFFFFFF Primary PCIe3 x8 Cache SAS RAID Internal Adapter 6Gb
sissas0 FEFFFFFF HA Linked Remote adapter SN 0048K052

hdisk0 FC0000FF Optimal RAID 0 Array 283.8GB
pdisk0 000C00FF Active Array Member 283.8GB

hdisk1 FC0100FF Optimal RAID 5 Array 1418GB
pdisk1 000C01FF Active Array Member 283.8GB
pdisk2 000C02FF Active Array Member 283.8GB
pdisk3 000C03FF Active Array Member 283.8GB
pdisk4 000C04FF Active Array Member 283.8GB
pdisk5 000C05FF Active Array Member 283.8GB
pdisk6 000C06FF Active Array Member 283.8GB

hdisk2 FC0200FF Optimal RAID 0 Array 283.8GB
pdisk7 000C07FF Active Array Member 283.8GB

hdisk3 FC0300FF Optimal RAID 0 Array 283.8GB
pdisk8 000C08FF Active Array Member 283.8GB

hdisk4 FC0400FF Optimal RAID 0 Array 283.8GB
pdisk9 000C11FF Active Array Member 283.8GB

hdisk5 FC0500FF Optimal RAID 0 Array 283.8GB
pdisk10 000C12FF Active Array Member 283.8GB

hdisk6 FC0600FF Optimal RAID 0 Array 283.8GB
pdisk11 000C13FF Active Array Member 283.8GB

hdisk7 FC0700FF Optimal RAID 0 Array 283.8GB
pdisk12 000C14FF Active Array Member 283.8GB

この例では、VIOSを導入するhdisk1(RAID0), IBM iを導入する予定のhdisk1(RAID5), hdisk2-7(RAID0)を構成しています。
IBM iから見たときにhdiskxxが実際のディスクとして見えることになりますので、hdisk1はIBM iからみると1本のディスクですが、実際にはpdisk1-6の6本の物理ディスクで構成されていることになります。
また、RAID0で構成されたhdisk2-7の6本のディスクに関しては、IBM i導入後、IBM i のミラー保護機能を使用して保護することができます。

-VIOSでの仮想ディスクの作成
RAIDアレイの作成が完了し、VIOSの導入/設定が完了したのちにIBM i用の仮想ディスクの作成を行います。
仮想ディスクの作成の前に、今回の520バイトセクターサポートが有効になっているかどうかを確認します。

$ lsdev -dev vios0 -attr

attribute value description user_settable

allow520blocks yes Allow 520-byte blocks where applicable True

allo520blocksがyesになっていることを確認してください。
これがyesになっていないと520バイトセクターフォーマットがサポートされません。
もし、なっていない場合は、以下のように使用可能にしてください。

chdev -dev vios0 -attr allow520blocks=yes -perm

その後、以下のような要領で仮想ディスクを構成してください。

$ mkvdev -vdev hdisk0 -vadapter vhost0


【IBM i】
IBM iの導入に関しては、特に考慮点はありませんが、導入の際に認識されているディスク装置が6B22-055になっていることを確認してください。

ライセンス内部コード (LIC) の導入

ライセンス内部コードの書き込み用に選択されたディスク :
製造番号 タイプ 型式 I/O バス 制御装置 装置
Y3YST56FRNBY 6B22 055 0 1 0

次の1つを選択してください。

1. ライセンス内部コードの復元
2. ライセンス内部コードの導入およびシステムの初期化
3. ライセンス内部コードの導入および構成の回復
4. ライセンス内部コードの導入およびディスク装置データの復元
5. ライセンス内部コードの導入および IPL 装置のアップグレード






選択項目


F3= 終了 F12= 取り消し


導入後のディスク構成は以下のようになります。
RAID5で構成されているケース
ディスク構成状況の表示

製造 資源 ホット・スペア
ASP 装置 番号 タイプ 型式 名 状況 保護
1 非保護
1 Y3YST56FRNBY 6B22 055 DD001 構成 N













続行するためには,実行キーを押してください。

F3= 終了 F5= 最新表示 F9= ディスク装置詳細の表示
F11= ディスク構成容量 F12= 取り消し
IBM iのミラーリングで構成されているケース
ディスク構成状況の表示

製造 資源 ホット・スペア
ASP 装置 番号 タイプ 型式 名 状況 保護
1 ミラー保護
1 Y7E6YYU8F2XW 6B22 055 DD001 活動中 N
1 YAS6PGTTG7FX 6B22 055 DD004 活動中 N
3 YTQGC25FTDMD 6B22 055 DD002 活動中 N
3 YAGUNVHBSFR3 6B22 055 DD003 活動中 N
4 YR56QNFJTS9E 6B22 055 DD005 活動中 N
4 YWQ2REG87BX5 6B22 055 DD006 活動中 N








続行するためには,実行キーを押してください。

F3= 終了 F5= 最新表示 F9= ディスク装置詳細の表示
F11= ディスク構成容量 F12= 取り消し


【まとめ】
当テクニカル・フラッシュでは、VIOSホスト配下の内蔵ディスクへIBM iを導入した場合のパフォーマンスを最大化するための構成の考慮点を解説してきましたが、このような構成は、1つのRAID SASアダプター下の内蔵ディスクを複数のLPARで共有することができ、その中でIBM iのパフォーマンスを維持することが可能になります。
この構成は、小規模ユーザーへの複数OSもしくは複数LPAR(AIX, Linux, IBM i)の提案に適用することが可能になります。
開発環境やLinux on Power環境のスモール・スタートにも適用することができます。
お客様の要件に応じてご活用ください。
ただし、IO数が多いことが見込まれる構成や拡張性が必要な構成に関しては、#EJ0Lなどのキャッシュ付きSASアダプターの使用や外部ストレージの使用の検討を合わせて行っていただきますようお願いします。


【参照元情報】
SAS Adapter Performance Boost with VIOS


以上

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Historical Number

8F37B286288022FF49257E20001DD062

Product Synonym

対象システム:Power Systems;IBM i;PowerVM

Document Information

Modified date:
18 December 2019

UID

jpn1J1012415