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DB2 pureScaleの機能強化 - V10.1 FP2で有効になる新機能(DM-12-040)

Preventive Service Planning


Abstract

DB2 for Linux, UNIX, and Windows V10.1 Fix Pack 2が公開されました。このフィックスパックには、DB2 pureScaleに関する以下の機能強化が含まれています。

Content

当フラッシュでは、これらの機能強化について解説します。

  • サイトを跨いだDB2 pureScaleクラスターの構成が可能になった
  • DB2メンバーにおいて複数の内部通信ポートが利用可能となった
  • DB2 pureScaleにてサポートされるカテゴリー1のストレージが増えた
  • GPFSのためのパスワードなしのリモートrootログインが不要になった
  • db2prereqcheckコマンドに新しいオプションが追加された

フィックスパックのダウンロードについては、以下のページを参照してください。
DB2 Version 10.1 Fix Pack 2 for Linux, UNIX, and Windows

当フィックスパックによって利用可能になる、DB2 pureScale以外の機能拡張については、以下のInfoCenterページを参照してください。
DB2 バージョン 10.1 for Linux, UNIX, and Windows フィックスパックのサマリー

【詳細】
DB2 for Linux, UNIX, and Windows V10.1 Fix Pack 2が公開されました。
このフィックスパックには、DB2 pureScaleに関する機能強化が含まれています。



1. サイトを跨いだDB2 pureScaleクラスターの構成が可能になった ( GDPC、Geographically Dispersed pureScale Cluster )

GDPCとは?
GDPC(Geographically Dispersed pureScale Cluster)とは、メンバーとCFのノードを2つのデータセンターに分散配置し、全体としてひとつのDB2 pureScaleクラスターの構成を可能にする機能です。
この機能により、2つのセンターに配置したメンバーがいずれもサービスを提供するActive-Active構成が可能となり、大規模停電等でひとつのセンター全体がダウンした場合でも、もう片方のセンターに配置されたCFとメンバーによって、サービスを継続提供することができます。

この機能は、V10.1 Fix Pack 1 以前でも利用可能でしたが、正式機能としてはInfoCenterには掲載されておらず、以下のホワイトペーパーが参考情報として公開されているのみでした。
また、利用可能なプラットフォームはInfiniBand接続によって構成されたAIXサーバーのみでした。
Configuring Geographically Dispersed DB2® pureScale™ Clusters

■Fix Pack 2における変更点
Fix Pack2における変更点は以下の通りです。
  • GDPCが正式な機能として、InfoCenterに掲載されるようになりました。
  • サポートされるプラットフォームとして、RedHat Linux ( 10Gigabit Ethernet接続のみ )が追加されました。

■参考情報
GDPCについての詳細な情報については、以下のページを参照して下さい。
GDPC環境の構成



2. DB2メンバーにおいて複数の内部通信ポートが利用可能となった

■DB2 pureScaleにおける内部通信アダプター
DB2 pureScaleでは、CFとメンバー間の内部通信にInfiniBandまたは10 Gigabitイーサネットを使用します。
DB2 V10.1 Fix Pack 1以前は、これら内部通信のポートは、CF側のみで複数利用することができ、各メンバー側では、1アダプター上の1ポートしか使用することができませんでした。
そのため、あるメンバーの内部通信アダプターが故障した場合には、そのメンバーも利用できなくなっていました。
また、内部通信用のスイッチが故障した場合には、そのスイッチに接続している全てのメンバーが利用できなくなっていました。

■Fix Pack 2における変更点
CFと同様、各メンバーにおいても、複数の内部通信用ポートを利用できるようになりました (各メンバーが利用できる最大のポートは4つ)。
この機能強化により、以下のメリットが得られるようになります。
  • 複数アダプターを各メンバーに備えることにより、アダプター障害時も、そのメンバーを継続利用することができます。
  • 各メンバーから複数の内部通信スイッチに接続することにより、1台のスイッチに障害が発生しても、全てのメンバーを継続使用することができます。

■参考情報
DB2 pureScaleにおける内部通信の構成については、以下のページを参照して下さい。
ネットワーク・トポロジー構成に関する考慮事項


3. DB2 pureScaleにてサポートされるカテゴリー1のストレージが増えた

■DB2 pureScaleにてサポートされるストレージ
DB2 pureScaleでサポートされるストレージ・デバイスとマルチパス入出力ドライバーのペアは、それぞれ3つのカテゴリーに分類されます。

◇カテゴリー1:
高速I/Oフェンシングをサポートし、DB2 Cluster Serviceのタイブレーカー・ディスクとしても使用可能な、ストレージ・デバイスとマルチパス入出力ドライバーの組み合わせです。DB2 pureScale環境におけるIBM社の妥当性検証もなされています。

◇カテゴリー2: 
DB2 pureScale環境におけるIBM社の妥当性検証はなされており、DB2 Cluster Serviceのタイブレーカー・ディスクとしては使用可能ですが、高速I/Oフェンシングのサポートがありません。

◇カテゴリー3:
カテゴリー1にも2にも属さないストレージ・デバイスとマルチパス入出力ドライバーの組み合わせです。サポートはされますが、IBM社による検証は実施されていません。

メンバー障害が検知され回復処理を開始するときには、障害の発生したメンバーからの共有ディスクへの書き込みを一度完全に遮断する必要があります。
高速I/Oフェンシングは、SCSI3-PR (Persistent Reserve)コマンドを使って、障害の検知後、1-2秒でI/Oを遮断することのできる機能です。
高速I/Oフェンシングの利用できるカテゴリー1から、ストレージ・デバイスとマルチパス入出力ドライバーを選択して利用すると、DB2 pureScaleは、障害に対する最短の回復時間を実現することができます。

各カテゴリーの分類詳細については、以下のページをご参照下さい。
DB2 pureScale環境での共有ストレージに関する考慮事項 

※ 2012/12/27時点で、日本語のページには最新情報がまだ反映されていないため、ページの最初にある「重要: このトピックは英語で最近更新されました。」とあるリンクをクリックし、英語のページを参照するようにしてください。

■Fix Pack 2における変更点
Fix Pack 2以降、以下のストレージ・デバイスとマルチパス入出力ドライバーのペアがカテゴリー1に追加されました。
これらのストレージ・デバイスとマルチパス入出力ドライバーを使って構成されたDB2 pureScaleクラスターにおいても、SCSI3-PRによる高速I/Oフェンシングが利用でき、高速なリカバリーが可能になりました。

ストレージ・デバイスマルチパス入出力ドライバー(AIX)マルチパス入出力ドライバー(Linux)プロトコル
IBM Storwize V7000 (6.4.0.1以上)SDDPCMDM-MPFibre Channel
IBM SAN Volume Controller (6.4.0.1以上)SDDPCMDM-MPFibre Channel
Hitachi Virtual Storage PlatformMPIO driver(IBMまたはHDLM から提供)-Fibre Channel



4. GPFSのためのパスワードなしのリモートrootログインが不要になった

■DB2 pureScaleにおけるSSHの構成
DB2 pureScaleでは、共有ファイルシステムとしてGPFSを使用しています。 V10.1 FP1以前では、DB2 pureScaleの新規導入に際し、その前提条件として、GPFSドメイン内の全ホストに対して、SSHによるパスワードなしのリモートログインができる状態にしておく必要がありました。

■Fix Pack 2における変更点
新規導入に際し、DB2管理のGPFSファイルシステム(DB2提供のインストーラーやコマンドによって作成するGPFSファイルシステム)を使用する場合には、パスワードなしのrootログインは不要になりました。代わりにrootユーザー以外のユーザーIDをホスト間のSSH通信で使うよう、指定することができます。
もし、このユーザーIDが指定されなかった場合には、インスタンスオーナーのユーザーIDが、SSHのユーザーIDとして使用されます。

■参考情報
DB2 pureScaleの導入に必要なユーザーの情報については、以下のページをご覧下さい。
DB2 pureScale Featureのインストールに必要なユーザー



5. db2prereqcheckコマンドに新しいオプションが追加された

■db2prereqcheckコマンド
db2prereqcheckコマンドは、DB2 pureScaleを導入するにあたり、システムが前提条件を満たしているかどうかを、実際に導入を開始する前に確認するためのコマンドです。
OSのレベル、Linuxのディストリビューション、AIXのテクノロジー・レベル、Cライブラリーやランタイムのパッチ、その他pureScaleの前提となるソフトウェアが導入されているかどうか事前に確認することができます。

■Fix Pack 2における変更点
db2prereqcheckコマンドで以下の新しいオプションを利用することができるようになりました。

-hl : ホスト名のリストを指定し、これらのホストに対して、パスワードなしのSSHアクセスができることを確認します。
-dl : 共有ディスクのPVID(AIXの場合)やWWN(Linuxの場合)のリストを指定し、すべてのホストからこのディスクにアクセスできることを確認します。
-nl : 内部通信に利用するInfiniBandや10Gigabit Ethernetのnetnameを指定し、すぺてのホスト間での疎通を確認することができます。

■参考情報
db2prereqcheckコマンドの詳細については、以下のページを参照して下さい。
db2prereqcheck - インストール前提条件の検査


以上

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Historical Number

57FDA9D927F601F549257ADB003782FE

Product Synonym

対象システム:DB2 Version 10.1 for Linux;UNIX;and Windows

Document Information

Modified date:
17 June 2018

UID

jpn1J1010144